第16回 (2013年度)・永田和宏先生(京都産業大学)

橋本 寛・喜多 泰之(博士課程2年)


今回はSSS実行委員を担当することができ、とても貴重な体験をさせて頂きました。ご講演では、前半は HSP47の発見から、小胞体におけるタンパク合成, 酸化還元, カルシウムホメオスタシスの三者クロストークまで、先生のこれまでの研究人生を中心にお話をして頂きました。他人と同じことをしていてはつまらない、新しいコンセプトを作る研究をするという信念は、自分の今後の研究をしていく上でもとても感銘を受けました。また後半では、短歌への出会いから、その後の文学に関わる仕事の話にも触れ、ご講演の終盤では目頭が熱くなってしまいました。

永田先生は、私の出会った一流の研究者は全て面白い人であったとおっしゃっていて、印象的でした。研究に限らず、様々なことについて、自分には関係のないことと線引することなく 多くのことを知る必要があると強く感じました。知らないことは恥である、との言葉はしみじみと心に響くものがありました。また、二足の草鞋を履いていると、研究も歌もどちらも本気でやっているということを信じてもらうことが大変だった、とおっしゃっており、若い頃は研究と短歌に共通するものを探したが、結局両者は共通する面があるからやっているわけではないといえるようになったという言葉は、逆説的では有りますが、進んだ道がたまたまそちらであったという点で、両者地続きであったということなのだと感じました。

ご講演後の懇親会でも、夜遅くまでお話ができたことが嬉しかったです。二次会からは三原先生も交えて、楽しそうにお話する姿がとても印象的でした。永田先生の気さくなお人柄もあって、多くの面白い話を聞かせて頂き、楽しい時間を過ごすことが出来ました。

今回、会の運営にあたっては、有志学生の皆さまはじめ、関係者の皆様にはとてもお世話になりました。深く感謝申し上げます。この貴重な経験を糧として今後も頑張っていきます。最後になりましたが、お忙しい中 われわれ学生の無理なお願いを快く引き受けて下さり、温かいエールを贈ってくださった永田先生、本当にありがとうございました。

(橋本 寛)

第16回SSSでは、学生へのアンケートの結果、最も要望の高かった京都産業大学の永田和宏先生にご講演をお願いすることになりました。永田和宏先生は、タンパク質の品質管理研究の第一人者でいらっしゃると同時に、現代短歌の世界でも大変ご高名な先生です。ご多忙でいらっしゃることを存じておりましたので、ご講演を引き受けて下さるか大変不安に思っておりましたが、ご講演をお願いするメールを差し上げたところ『喜んでお引き受けいたします』とのお返事をいただき大変感激したことを覚えています。

ご講演では、永田先生がこれまで行ってきた研究の軌跡と、現在行っていらっしゃる研究内容を大変分かりやすくお話しして下さり、その後、永田先生がどのようなことを考えながらサイエンス、そして人生と向き合ってきたのかをご自身の短歌の紹介を交えながらお話しして下さりました。著名な先生から直接このようなお話を聞くことのできる機会は滅多ないことだと思います。これこそSSSの醍醐味というような大変貴重なお話を聞かさせて頂き、時間が経つのも忘れて聞き入ってしまいました。

参加学生からの反響も大きく、講演終了後の質疑応答では数多くの質問が学生から上がり、予定時刻を30分近くオーバーしてしまいました。多くの学生が永田先生に質問している光景は、実行委員としても大変嬉しかったですし、今回のSSSの意義を実感した瞬間でした。

また、ご講演後は、学生との飲み会にお付き合い頂き、永田先生と科学や人生について夜遅くまで語り合うという貴重な機会を頂くことができました。我々学生もトップサイエティストも何も変わらないから自信を持って努力して欲しいと言う、永田先生のお言葉には大変勇気づけられました。面白いサイエンスをすること、広い視野を持つこと、人と違うことをすること、永田先生のメッセージを胸に日々努力していきたいと思います。

最後になりましたが、今回は我々の無理なお願いを快くお引き受け下さった永田先生に改めてお礼申し上げます。本当にありがとうございました。

(喜多 泰之)

参加していただいた学生および先生方より御感想をいただきましたので、以下に紹介させていただきます。

この度はSSSでご講演いただき大変ありがとうございました。遅くまで私たちと一緒にお話しいただいたことは素晴らしい思い出になりました。
先生がおっしゃっていた“全ては地続きで、トップサイエンティストも歌人も決して遠く離れた存在ではない”ということは研究においても人生においても大切な価値観だと強く感じました。いつの日か先生のお宅のお花見に参加できることを大変楽しみにしております。

この度はご多忙の中、SSSにお越しいただきありがとうございました。私はこれまでに科学者にとって科学とは関係のないバックグラウンドを持つことの利点や欠点についてあまり深く考えたことがありませんでしたが、永田先生のようなどちらも第一線でご活躍されている方からそれらについての貴重なお話をいただき、これからの自分の方向性について考える機会を得る事ができました。また、科学者としての経験が浅い私達のような学生でも、国内外の一流研究者と同等の仕事をできるということをお教えいただいたことは、今の自分への励みになりました。先生のお言葉を胸に今後も日々精進を重ねて参りたいと思います。本当にありがとうございました。

すごく興味深い話をしてくださりありがとうございました。Scienceの話はもちろんですが、人としての生き方・考え方にすごく衝撃を受けて本当に実りのある素敵な日になりました。先生のメッセージは心に響くものばかりで、特に、「君たちは学問に生きる道を選んでいるのだから、人が知っていて自分が知らないのは恥ずかしいことであり、自分には関係ないというのは許されない。」と先生が仰ったときは強く心に刺さりました。私は、本当に無知であり、文系的なところは「自分には関係ない」と知ろうとすることから避けて生きてきました。この日を機に、より幅広い視野で物事を捉え、深みのある人生を送れるよう精進致します。掛け替えのない素敵な時間をありがとうございました。

セミナー、懇親会と、非常に良い機会を与えて下さり、ありがとうございました。非常に分かりやすい御説明で、文学の方は聴く者に深い感動を与えて下さる内容でした。また、教育の方でも熱心なお話を拝聴することができ、物事の考え方を再度見つめ直すいい機会となりました。挫折を味わったからこそ見える世界があり、それを乗り越えて頑張れたからこそ、二つの世界でどちらも成功することができたのだと思います。人生は上手くいかないものであって、それ故不安、葛藤、畏懼、不満を纏うのは当然のことだけれども、それら負の感情と如何に共存するかが人間としての強靭さの指標であり、不死鳥が灰の中から復活するように、人間の真の強さや才能、叡智は苦しみの中で涵養されるものだと私は考えています。先生は正に苦難の連続で、何度転んでも自分を強く持ってこられたからこその人生だと思います。先生の門下の学生が優秀で、今尚先生の下に集ってくるのは、研究の面白さや教育方針だけでなく、その生き様に因る所は大きいでしょう。また、MysterinやUbin、Postに代表されるように、適度なユニークさも持っておられます。これら様々な要因があるからこそ、短い文の中で巧みに心を表現できるのだと感じました。先生の歩んで来られた人生、世界観、歌の中に見え隠れするその時々の感情、愛……本当に多くのことを直接先生のお口から拝聴できたのは幸運の限りです。是非今後の人生の参考にさせて頂きたいと思っています。最後にもう一度、充実した楽しいお話をありがとうございました。

永田先生、遠路はるばる福岡までお越し頂きありがとうございました。「科学者」と「歌人」の両方で活躍される先生の講演を楽しみにしておりましたが、とてもすばらしい講演で感銘を受けました。科学と短歌、一見相反するように思える二つを、どのように考えて取り組まれているのか気になっておりましたが、それらを地続きで捉えていらっしゃることを知り、驚きと共に非常に考えさせられました。「一流の科学者」と「自分たち」、「科学」と「短歌」と言ったことを対立あるいは異なる世界の話と考えていましたが、実際に両方の世界で活躍されている先生のお言葉を受けて、自分から続いているであろう一流の世界に挑戦していこうと、益々決意が固くなりました。
また、飲み会の席で若々しくお話しをされる姿を拝見し、目指すべき存在というものが固まったと思います。未熟な身ながらも、研究者として、歌人として、また、人間的にも先生のような人物になれるように努力していきたいと思います。今回は本当にありがとうございました。

非常にご多忙のなか福岡にお越しいただき本当にありがとうございました。永田先生の人生の中で「おもろい」ということに対して非常に率直にこだわり続ける姿勢が、研究だけでなく歌人としての成功、そして人々を惹きつける源になっているのではないかと感じました。研究の面では、誰かの後に続くのではなく自分が新しい概念を提示できるような研究を目指す、というのもまさにそのとおりだと思います。日頃自分の専門の最先端の研究ばかりにこだわりがちですが、素直に「おもろい」という視点から医学や細胞生物学を大局的に考えて日々の研究や学習していくことが大切だと思いました。
また、私自身は歌について素人なのですが、ご夫婦の愛情をいつまでたってもお互いに歌で表現できるということはとても素敵なことと感動いたしました。歌で自分の世界を表現できるということは素晴らしいんだということとともに、率直に先生の歌の世界も含めて「知らないことは恥」という以上に「知らないことはもったいない」とさえ思いました。短い時間でしたが、先生のご講演で感じた沢山のことを自分の今後の研究や人生に活かせるように精進したいと思います。改めて深く感謝申し上げます。

サイエンスの面白さだけではなく、文学の素晴らしさや教養の大事さなどを感じる、とても貴重な機会でした。ともすれば、忙しい研究生活のなかで視野が狭くなってしまいますが、やはり文学や芸術も感動や人生の奥深さを感じることができる貴重な人類の財産なので、これからもそのようなものを忘れずに生きていきたいと思いました。すばらしいお話、本当にありがとうございました。

先日はSSSでのすばらしいご講演本当にありがとうございました。自分は先生が2つの道を貫き通したというところに一番感動しました。2つの道を歩くことは、視野を広く保てることができるが、いつも眠かったとおっしゃっていました。本当にすごいなと思いました。海外ではメジャーリーガー兼アメフト選手など2つ以上の道を歩く人が結構いると思います。日本にもそういった生き方をする人がいるんだなと嬉しかったです。お目にかかれて本当に幸せでした。ありがとうございました。

今回京都からはるばる九州までおいでになり、貴重なお話をしてくださって誠にありがとうございました。私は今年修士課程一年として研究室に入ったばかりなので、今回の永田先生が初めてのSSSでしたが、非常に独特な経歴や研究、そして考えをお持ちになっており、講演から懇親会までとてもおもしろかったです。先生は「おもろい」という言葉をよく使われていました。「この研究はおもろい」「こいつはおもろいやつだ」などとおっしゃる時の先生の笑顔が印象的で、これこそ先生が文学も科学も一流となられたエネルギー源であったのだろうと思いました。また、我々サイエンティストに必要不可欠なものなのだろうと思います。ご講演本当にありがとうございました。先生のますますのご活躍を心よりお祈り申し上げます。

永田先生、この度はご多忙の中SSSにお越しいただき誠にありがとうございました。科学と文学どちらのお話も大変興味深く、時が経つのを忘れて聞き入ったセミナーは今回が初めてでした。夜の懇親会でもこのような場ではないとなかなか耳にすることのできないお話などを気さくにお話いただき、大変貴重な時間を過ごすことができました。私は、先生がご講演と懇親会で強調しておっしゃっていた「我々の行っている研究は世界で行われている一流の研究と地続きである」というお話に最も感銘を受けました。そして、この地続きであるということは何も研究の世界だけでなく、日常の全てに通じているとのことで、研究や日頃の生活への態度を考え直す機会となりました。このほかにも、自分の仕事と同じように人の仕事を面白がれるか、など多くのメッセージを受け取ることができ、大変有意義でした。最後に改めてお礼申し上げます。本当にありがとうございました。

研究者そして歌人としても活躍されている永田先生のご講演はとても貴重な体験となりました。普通は本業と趣味や副業程度というなら実際にあると思うのですが,永田先生の場合,どちらも本業と言ってもいいほどの実績がそれぞれあり,とても自分では真似できないと思いました。しかし,人それぞれで輝くものは違うはずなので,もしかしたら自分でも二足の草鞋で出来るものがあるのかもしれないなと思い,この道でしかないという短絡する考えは捨てて,もっと楽しいことを日々考えて生きようと感じました。もしかしたら,研究よりも楽しいものを見つけてしまったらそっちに移ってしまうこともあるかもしれないとも感じました(笑)今回の講演は,自分がおもしろいと思った道を本気で突き進んだ結果の1例を見せていただけた,そんな講演でした。

世界のトップで活躍されている永田先生のご講演を聞くことができ、とても有意義な時間を過ごすことができました。あっという間に講演時間が過ぎたように感じました。楽しそうに研究内容を話すお姿はとても印象的でした。先生は歌人としても有名であり、歌はとても素敵で感銘を受けました。研究者としても歌人としてもトップで活躍される先生といろいろなお話を聴くことができ、とても勉強になりました。お忙しい中、すばらしいご講演本当にありがとうございました。

九州大学 生体防御医学研究所
分子医科学分野
橋本 寛・喜多 泰之(博士課程2年)