第18回 (2015年度)・森和俊先生(京都大学)
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大西 隆史 (博士課程3年)・松本 結香 (博士課程1年)
今回、歴史あるSSSの実行委員という貴重な経験をさせていただきました。今年度の第18回SSSでは、学生への「今一番ご講演を聴いてみたい先生は誰か?」というアンケートを基に、小胞体ストレス研究の開拓者である京都大学の森和俊先生にご講演を依頼し、快諾して頂けました。ご講演ではUPR (Unfolded Protein Response) 研究になぜ携わるようになったのか、研究でのライバルとの激しい戦い、困難とその解決、そして現在から未来への研究まで、1時間半という時間では収まりきらないほどのボリュームのある話を非常にわかりやすくお話しして頂きました。質疑応答では基本的なものから複雑なもの、抽象的なものまで数多くの質問がなされましたが、一つ一つ丁寧に、かつ更なる情報も加えてお返事されており、現在の研究に対する熱意が伝わってきました。時間の制約がなければ、もっと深い話、多くの質疑が行えたと思うことが残念ところです。
学生と行われた懇親会では、ご講演とは違い先生の体験や考え、信条に至るまでざっくばらんにお話をして頂けました。「問題解決の為には、知識のインプットばかりではなく、それをインキュベートする時間を作らないと良い発想は生まれない」というお言葉は、情報化社会で生きる我々への警鐘になると思います。また、「人間到る処青山あり」「人生万事塞翁が馬」という故事を紹介され、海外留学や新しい研究分野に挑戦することの大切さを説かれていたのが印象に残っております。自分の力を試す為に海外留学され、そこで出会った研究テーマに打ち込まれて今日まで来られた森先生のお言葉は、大変分かりやすく、かつ重みのあるもので、私を含めた学生一同にとても良い刺激を与えてくださりました。
森先生の研究への情熱と、決断力、さらに強い意志を今回のSSSで感じることができました。研究者としては未熟な私達ですが、その時期に森先生のお話を身近に聞くことができことの意義は計り知れないです。この経験を今後の人生に活かしていきたいと思います。最後になりますが、お忙しい中、福岡までご講演に来てくださり、また学生へ暖かいお言葉をかけてくださった森先生に心より感謝を申し上げます。
(大西 隆史)
第18回目を迎えることとなったSSSには、学生へのアンケートの結果、最も要望の声が高かった京都大学の森和俊先生にご講演をお願いすることになりました。森先生には、ご多忙の中福岡までお越し下さいまして心より感謝申し上げます。ご講演では小胞体ストレス応答解析の黎明期から最前線の研究まで盛り沢山の内容で、夢中で聴き入ってしまいました。特にPeter氏やRon氏など様々なライバルとの攻防は手に汗握る展開であり、Cellに掲載された研究内容を覆したところなど本当にお見事でした。質疑応答も活発に行なわれ、一を尋ねれば十も二十も返してくださる先生に、この研究に対する非常に熱い情熱を感じました。まだまだ質問をされたい方もいらっしゃったのに、時間の都合上打ち切らなければならなかったのは大変申し訳なく思います (後で沢山の方から、もっとお話ししたかったのに!という声がありました)。
その後行なわれた懇親会では、親しみを持って我々学生に接して下さり、これまでの研究人生のお話も聴かせてくださって、とてもうれしかったです。先生のお言葉は、私にとってどれも新鮮で貴重なものだったのですが、特に先生がおっしゃられた「人間到る処青山あり」というお言葉が印象に残っております。お恥ずかしながら私はその意味を知らなかったのですが、「人間にはどこにでも死に場所があるのだから、海外にでも新しい分野にでもえいやっ!と飛び込んで行けば良い」とのお言葉にとても感動しました。これまで数々のことに挑戦して成し遂げてきた森先生だからこそのお言葉だと思います。今回のSSSを通して、森先生からは、本当に溢れ出るような情熱と、心から研究を楽しもうという想いが伝わってきました。今後の我々の研究人生において、この経験は大きな財産になることと確信しています。森先生、そして本会にご協力下さった皆様、本当にありがとうございました。
(松本 結香)
参加していただいた学生および先生方より御感想をいただきましたので、以下に紹介させていただきます。
森先生のご講演を聴講することができてとても良かったと思います。SSSのアンケートで選ばれた先生は、どの方も日本のトップクラスであり世界でも有名な研究者ばかりです。もちろん学会へ行けば著名な先生方のご講演を聴くことができますが、質問はというとなかなか勇気の要ることで距離を感じてしまいます。一方SSSでは森先生のご配慮と、気さくなお人柄もあり、セミナー中ですら気軽に質問できる雰囲気でした。森先生の御講演は非常に分かりやすく、聞いているうちに、だんだん人の研究ではなく自分自身でその研究を進めているような感覚にとらわれてしまいました。特に世界中のcompetitorとのしのぎを削る争いは白熱した雰囲気を感じることができました。
細胞内での品質管理機構が非常に巧妙に制御されており、さらに個体の発生から成体の機能維持や病気にまで普遍的に関わっているということに驚きました。そして、森先生が常に情熱をもってサイエンスをしていることや、ライバルや逆境にも負けずにトップランナーとして研究をしていることが大変印象的でした。懇親会では、科学者ならば面白いテーマを探すことと、まずは実行可能な問題設定をすることが大切だとおっしゃっていたことが参考になりました。短い時間でしたが、ご多用のところ貴重なご講演を引き受けてくださいましてありがとうございました。
この度はご多忙の中、SSSにお越しいただきありがとうございました。森先生がご講演して下さった、ご自身の研究の軌跡と現在進められているプロジェクトは全てが刺激的で面白く、時間が経つのも忘れて聞き入ってしまいました。また、ご講演後の宴席においては、サイエンスや人生について、私たち学生と同じ目線にたってお話をして下さり、大変感動致しました。今回のSSSでは、小胞体ストレス応答の最先端を知ることが出来ただけではなく、世界一流の研究者である森先生の科学に対する熱い思いを直接聴かせて頂くという滅多にない貴重な時間を過ごすことが出来ました。本当にありがとうございました。
大変興味深いご講演をしていただきありがとうございました。UPRという分野を切り開き、また興味を持った対象にとことん追求していく姿に感銘を受けました。UPRのメカニズムはシンプルとおっしゃっていましたが、まだまだわからないことが多く、加えてOutputが一筋縄ではいかない(UPRが生体にとって保護にもToxicにも働きうること)ことからも、今後のこの分野がますます発展していくのだろうということを肌で感じました。その後の懇親会においても、研究のことに加えて様々なお話が聞けて良かったです。人生観における、人間万事塞翁が馬と人間到る処青山有りという考え方は、私自身にとっても今後研究者として生きる上で参考になりました。
今回はご多忙の中、貴重なお時間を割いて頂きありがとうございます。すごくわかりやすいご講演で、講演時間は先生の世界に入り込んで、こんなに短く感じた講演は初めてでした。研究内容はもちろんですが、先生のお人柄がすごく魅力的で研究に対する姿勢にすごく憧れました。飲み会の席でも、ざっくばらんに何でも答えて下さり、特に先生が今やられている研究への飽くなき探究心や情熱を感じました。今後、私も研究をしていくにあたり先生のように緻密な実験を重ね、熱い気持ちを持って取り組んでいきたいと思います。今回のSSSは本当に実り多く、研究に対する姿勢を見直す貴重な時間でした。先生にお会いできたことを心より感謝申し上げます。
この度は、お忙しい中遠路はるばる九州までお越しいただき、ありがとうございました。ご講演では、これまでの小胞体ストレス応答に関する研究の進展や、現在進行中のお話まで、ユーモアを交えながらお話を伺うことができ、とても楽しい時間を過ごすことができました。小胞体ストレスに関して素人の私にも、大変分かりやすかったです。その後の飲み会の席でも、未熟な私に留学のことや研究の進め方などのお話をしていただき、貴重な経験となりました。今後の研究生活にすぐに生かしていこうと思います。本当にありがとうございました。
この度はお忙しいところ、学生主催のSSSのために貴重なお時間を割いてくださりありがとうございました。UPRの黎明期から現在に至るまで長きに渡ってその最前線でご活躍されていらっしゃるのは知っておりましたが、力技 (10万のスクリーニングなど) とエレガントな方法 (One hybridなど) を駆使してライバル達と凌ぎを削ったという話はとても印象的でした。大学院生時代に師匠の読んでいない文献まで昔のものも含めて全部読むという研究に打ち込む姿勢や、研究がダメでも剣道の先生として生きていけるからなんとかなるという当時の心境、そして留学時には別のラボに断られてしまったので結果としてUPRのラボになり人生塞翁が馬などの人生訓まで、ご講演の内容以外にもたくさんのことを学ばせていただきました。これを機会にますます研究の道に邁進していく所存であります。貴重な機会を賜りありがとうございました。
このたびはお忙しい中私たちのためにお越しいただき、ありがとうございました。ご講演では、小胞体ストレスについて目をきらきらさせて語って下さり、心から研究を楽しまれていることが伝わってきて、私も初心に帰った感じでした。飲み会のお話で印象的だったのは、「とりあえずビッグデータをとり都合の良いところだけ取り出し解釈する研究では何もわからない、スモールサイエンスこそやるべきだ」というお話です。はっとさせられました。一流の先生とお酒を酌み交わしながらいろいろなお話を伺えて、大変幸せな時間でした。本当にありがとうございました。
素晴らしいご講演を聞かせていただきありがとうございました。小胞体ストレス応答という新しい分野を切り開いて、現在も最先端で活躍されている先生の話を聞くことができ、とても有意義な時間を過ごすことができました。ほとんど知識がありませんでしたが、分かりやすく面白い話だったので多くのことを学ばせていただきました。楽しそうにかつ熱く講演している姿は非常に印象的でした。お忙しい中、貴重なお話を聞かせていただき本当にありがとうございました。
今回は遠い九州まで足を運んで頂きましたこと、厚く御礼申し上げます。また講演会ではUPRの細胞メカニズムを詳しく教えて頂けただけでなく、科学者同士の競い合い、いわゆるPeter Walterとの競争についてお話が聞けたことなどが非常に印象深く残っています。また、講演会後の飲み会では、研究者としての在り方、考え方についても多くを教えて頂きました。そこでは、『結果が得られる研究をする』、いわゆる結果が出ない研究を早期に見切って、本当に重要である研究を選ぶことが大きな結果を出すために 必要であると教えて頂きました。ラスカー賞を獲得し、世界一流の研究者であられる森先生に、直々にそのようにお話し頂き、非常に感銘致しました。私自身もこの言葉を深く胸に刻んで、今後の研究に生かしたいと思います。先生、今回は本当にありがとうございました。
九州大学 生体防御医学研究所
分子医科学分野
大西 隆史 (博士課程3年)・松本 結香 (博士課程1年)